大教・春











齋藤政彦国際教養教育院長からのご挨拶

国際教養教育院と神戸大学の全学共通教育

 国際教養教育院は、神戸大学の学士課程全体の教養教育の企画運営・実施を担当する部局であり、平成27年4月に「全学共通教育部」を改組して設立されました。

 神戸大学は、「学理と実際の調和」を理念とし、「先端研究・文理融合研究で輝く卓越研究大学」を目指す事をビジョンでうたっていますが、文系・理系という枠にはとらわれない先端研究を推進し、研究の臨場感の中で学生が創造性と学識を深める教育を重視しています。また、海外中核大学や多くの教育研究機関と連携を進め、世界各地から優秀な人材が集まり、また神戸大学から世界へ飛び出していく「グローバルハブキャンパス」の機能を高め、古くから国際的に開かれた神戸市に位置する大学にふさわしい教育を発展させています。

 平成28年4月1日からは、全学共通授業科目を見直し、基礎教養科目、総合教養科目、外国語科目、情報科目、健康・スポーツ科学、共通専門基礎科目を配置しており、それぞれの学修目標を明確にしています。さらに、神戸大学の全学部学生が卒業時に、身に着けるべき共通の3つの能力として「複眼的に思考する能力」、「多様性と地球的課題を理解する能力」、「協働して実践する能力」を「神戸スタンダード」として明示しました。詳しくは、「教養教育の目標」を参考にしてください。

学問と大学での学びについて

 学問とは、一定の理論によって体系化された知識や方法であり、人類の長い歴史の中で、書物や様々な形で蓄積されています。学問はその対象とする分野によって、専門化され学問分野を形成しています。神戸大学の各学部・各学科は、各専門分野に従って設置されています。例えば、経済学部ならば、経済学という学問を、理学部物理学科ならば、物理学という学問を専門分野としています。これらの専門分野の学問を修める事が大学における教育の一つの大きな目標ですが、言うまでもなく、既存知識を表面的に学ぶだけでは学問を修めた事にはなりません。
 学問または科学においては、既存の学問知識を前提にして、問題となる現象の注意深い観察や、実験によるデータ収集と整理、それを説明する仮説や理論を構築、そして更なる実験による仮説・理論の検証などいうプロセスを経るのが通常です。大事なのは、この学問と科学のプロセスを皆さんが大学で経験する事です。学問の究極の目的は、新しい学問的認識や方法を生み出し、人類の知を深める事ですが、それは新しい価値を生み出す基盤ともなります。
 例えば、カーナビで使われているGPSでは、衛星からの信号をアインシュタインが100年以上前に発見した時間と空間に関する相対性理論を用いて補正しないと使いものになりません。また、青色発光ダイオードの開発では3人の日本人がノーベル賞を受賞しましたが、その技術を用いたLEDの導入により、世界的にエネルギーの大幅な節約という大きな価値を生み出しています。

「オープンイノベーション」と神戸大学の理念「学理と実際の調和」

 神戸大学では、前述の神戸スタンダードの修得を教養教育の目的の一つとしていますが、国際教養教育院での全学共通授業科目だけでなく、各学部や国際教養教育院においては高度教養科目を設定しています。この科目では、学部横断で学生が受講する事を基本とし、神戸スタンダードの「協働して実践する能力」において、専門性や価値観の違う人々と協働して課題解決するチームワーク能力と実践力の教育も目標としています。地球温暖化、環境・エネルギー問題、経済的格差問題、少子高齢化問題、国際紛争など様々な問題が山積する現代において、一つの分野の専門家の力だけでは問題解決、課題解決はできません。高い専門性を身に着けた異なる分野の人々が課題を共有し、異なる視点を認めつつ論理的に討論することにより課題解決や新しい価値創造の方法を探り、実践に結びづけるという「オープンイノベーション」の考え方がこれからの時代に必要な能力と考えます。10の学部、15の大学院研究科を有する神戸大学では、この様な教育と研究が実現する素地があります。
 また、第4次産業革命で重要である人工知能技術、ビッグデータ技術、IoT技術などの基盤となる「数理・データサイエンスリテラシー教育」も、今後、順次導入していく予定です。神戸大学の建学以来の理念である「学理と実際の調和」は、学問を究めて、それを現実の課題解決や価値創造の実践に結び付けていくという精神です。大変素晴らしい理念であり、現在益々重要性を増していると考えます。
 
神戸大学に集う皆様と一緒に、この理念を実現していけるよう、努力したいと思っています。
 今後とも全学的なご協力をお願いいたします。 

国際教養教育院長
齋藤政彦

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