X 全学共通教育の施設・設備

 大学教育研究センターは,神戸大学における従来の一般教育科目に代わる全学共通教育の実
施並びに大学及び大学院教育全般の改善・充実を図るために不可欠とされる大学教育等に関す
る基礎的研究を行うため,平成4年10月1日に教養部を改組し,「学内共同教育研究施設」
として設置された。
 当センターの施設は,旧教養部の施設を大学教育研究センターと国際文化学部の2つの組織
が引き継ぎ,譲渡された形で現在に至っており,この2つの組織以外に,当センターのキャン
パスには,総合人間科学研究科及び附属図書館国際・教養系図書室も位置しており,また,多
数の運動施設も保有している。
 その後,平成8年に国際文化学部・大学教育研究センター講義棟が増設されたが,多い時に
には,7,500 人もの学生が受講に来ており,カリキュラム編成上の問題もあるが,特定の時間
帯では教室等の施設が手狭であるという状況が続いている。
 また,教室及び実験室等については,昭和39年の教養部設立当時のものを使用しており,
快適な教育環境への整備が遅れている。
 現在,「鶴甲キャンパス将来構想検討委員会」を立ち上げ,鶴甲第1キャンパスを「学習ゾ
ーン」として位置づけ,本学の全学共通教育の将来構想及び生涯学習に対応する大学開放の事
業を実施する拠点としてのキャンパス構想を,鋭意検討している。

  1 全学共通授業科目の実施施設の現状
    大学教育研究センターが管理している教室の数は,50教室である。
    平成8年に国際文化学部・大学教育研究センター講義棟としてK棟が増設され,収容定員
   が1,251名分増え,同年の後期から使用を開始した。これにより,平成8年度前期の教
   室稼働率が72.8%に対し同年度後期の教室稼働率が54.3%と下がり,以後,全体としての教
   室の稼働率は,50.3%〜66.6%で推移しているが,カリキュラムの編成と教室の収容人員の
   関係から,特に,外国語の授業時間帯には過密な状況が続いている。
    また,教育設備機器については,当センターの貧困な財政事情によるが,平成10年度と
   平成11年度にそれぞれ1教室に教材提示装置が更新されたのみである。
    なお,現在平成14年度からの夏季休業期間の変更が決定され,7月下旬に定期期末試験
   を実施することになるため,順次,教室に空調設備を設置することが不可欠となっており,
   平成12年度に4教室に空調設備を設置した。
    教室の過去5年間の使用状況及び教育設備機器は,次のとおりである。

  2 実験施設・設備
    全学共通授業科目の専門基礎科目として,「物理学実験」,「化学実験」,「生物学実験」
   及び「地学実験」を開講しており,それぞれの実験施設の使用状況及び実験の目標・内容は,
   次のとおりである。

   (1) 物理学実験
    ○物理学実験の施設
使用教室 定員等 使用状況
C310
C311
N303
D418
D416
1クラス最大72名で実験によ
り順番にまわる       
              
              
              
前期 月・火・木,3−4時限  
後期 月・火・水・木,3−4時限
                
                
                 

    ○物理学実験の目標・内容
      種々の物理現象を体験し,基礎的測定法の学習を通じて物理に対する興味と理解を
     深めさせることを目的として,物理学における各分野(力学・熱力学・光学・電磁気
     学・原子物理学)の基礎的実験を行う。実験方法,実験装置,器具の操作法に習熟す
     ることと同時に,レポートの作成を通じて,科学的思考法として表現法・測定値整理
     法を習得することを目標とする。金属線の張力測定,電気抵抗の測定,光の干渉・回
     折,X線の吸収・透過,基礎電気測定技術などの実験を扱う。

   (2) 化学実験
    ○化学実験の施設
使用教室 定員等 使用状況
C217 定員最大68名       
              
前期 月・火・水・木,3−4時限
C220 後期 月・火・木,3−4時限  

    ○化学実験の目標・内容
      化学における各分野(分析化学,物理化学,無機化学,有機化学)の基礎的実験を
     通して,実験法及び実験器具・測定機器の取り扱いに習熟することを目的とする。化
     学の法則や理論の基礎となるデータがどのような実験で得られるのか,それをどう処
     理して何が得られるのかといった一般的な研究プロセスを,模擬的実験を通して体験
     する。





   (3) 生物学実験
    ○生物学実験の施設
使用教室 定員等 使用状況
C411
    
最大40名         
              
前期 月・水・木,3−4時限    
後期 火,3−4時限        
N401 40名            前期 火・水・木,3−4時限    

    ○生物学実験の目標・内容
      多岐に亘る生物現象をどのような方法で解析し理解するかは当然ながら一様ではな
     い。ここでは,各分野の専門教官の指導のもとに,各テーマのもつ生物学的意義と,
     個体,生物,分子レベルでの形態学的,発生学的,生理学的,遺伝学的,生化学的な
     分析手法を学ぶ。また,レポート作成を通じて,実験結果を論理的に記述する技術を
     習得する。理系学生(農学部,医学部)を対象とする。

   (4) 地学実験
    ○地学実験の施設
使用教室 定員等 使用状況
D519 定員25名          後期 水,3−4時限      

    ○地学実験の目標・内容
      地質学・地形学・堆積学・岩石学・古生物学・地球電磁気学・地震学などの地球に
     関する基礎的な実験・観察を内容とし,それらの手法を習得するとともに基本的な事
     項を理解することを目的とする。レポート作成をとおして観察・実験結果を論理的に
     整理・記述する技術も学ぶ。

   なお,いずれの実験室においても実験機器及び実験台等の老朽化が目立ち,早急な更新を
  行う必要がある。最近,購入した実験設備は次のとおりである。
   ○汎用分子構造解析システム   化学実験室  平成 7年度購入
   ○無機化合物の解析同定システム 化学実験室  平成 8年度購入
   ○分光学・光学実験装置     物理学実験室 平成10年度購入


 3 語学教育の施設・設備
   (1) LL教室について
  当センターにおけるLL教室は5室整備しているが,LL教室の稼働率は非常に高く,
 平成12年度におけるLL教室の使用申請件数と許可件数は,次に示すとおり申請しても
 使用できないという状況である。
             申請件数   許可件数
        ○前期    95     82
        ○後期    88     79
     なお,LL機器については,平成10年度に3室を更新し,残りの2室については,
    パソコンと語学教育とを組み合わせて行うCALLシステム( Computer Assisted  
    Language Learning )の導入も含めたLL装置更新の概算要求を行っている。
     LL教室の使用状況は,次のとおりである。

           X−3 LL教室使用状況一覧
    
教室番号
    
    
定員(人)
    
   使  用  状  況  (  コ  マ  数  ) 
 8 年   9 年   10年   11年  12年  
前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期 前期 後期
K501  60     13  12  14  13  13  17  15  16  13 
K502  60     14  16  14  17  16  18  16  16  16 
K601  60     12  12  14  14  15  16  16  18  17 
K602  60     15  16  14  16  17  15  15  17  16 
K603  60     13  11  15  16  17  16  17  15  17 
B206  60  12                            
F202  60  15                            
M201  60  14                            
M202  60  16                            
M203  60  14                            
合  計      71  67  67  71  76  78  82  79  82  79 
稼働率       78.9 74.5 74.5 78.9 84.5 86.7 91.1 87.8 91.1 87.8
    (備考)水曜日の午後(3・4時限)は,修理・点検のため使用していない。

   (2) 語学トレーニング室について
  当センターには,個々の学生が自由に空き時間を利用して外国語の学習ができるよう
 にDVD装置(8式),VTR装置(20式)及びMD・カセット装置(8式)の専用
 ブース備えた語学トレーニング室を新設し,それに必要な各種教材ソフトを購入のうえ,
 平成12年5月から開放している。平成12年3月末までの延べ利用者数は,338人
 と多くはないが,今後,教材ソフトの充実を図れば,利用者数の増加が見込まれる。

 4 情報処理教育の施設・設備
   平成8年度の国際文化学部・大学教育研究センター講義棟の増設に伴い,パソコン100
  台を備えた情報処理教育演習室(K503)が整備された。この演習室は,「情報科学T・
  U」の講義と演習の授業のほか,国際文化学部,発達科学部,経済学部,工学部の専門教育
  の授業にも使用しており,学内での需要は高い。また,これらの授業以外の時間帯にあって
  は学生の自習時間として開放しており,パソコンを利用しての宿題の作成,E-mailでの教官
  へのレポートの報告,インターネットを利用した就職情報の入手と応募等,学生が大学生活
  を送るうえでの不可欠な施設である。
   これらのニーズに応えるべく,総合情報処理センターの次期計算機システム仕様策定を契
  機に,K503の情報処理教育演習室にパソコン50台を増やすとともに,D618の図学
  実習室をパソコン70台を備えた演習室に改築し,パソコン台数が合計220台となり平成
  13年度からは現状の飽和状態から少しは緩和できる。

 5 健康・スポーツ科学関係の施設・設備
   当センターにおける健康・スポーツ科学関係の施設として,第1体育館,第2体育館,武
  道場,グラウンド,テニスコート及びハンドボールコートが整備されている。これらの施設
  は健康・スポーツ科学の授業と課外活動としての使用頻度が非常に高く,老朽化も目立ち,
  特に,第2体育館の床面の老朽化が目立ち学生の事故にもつながる恐れがあり,改修工事の
  必要がある。平成12年度の授業における体育館等の利用状況は,実習種目別にみると次の
  とおりである。

 前期

曜日 時限   体  育  館  武 道 場 グラウンド テニスコート ハンドボールコート
  

  
ニュースポーツ             野球     テニス   ニュースポーツ  
ニュースポーツ,エアロビ         野球     テニス   ニュースポーツ  
卓球,バレー,バトミントン                   ゴルフ    

  
バトミントン             ソフト          ゴルフ    
バトミントン,バスケ          ソフト          ゴルフ    

  
バトミントン             ソフト     テニス   ゴルフ    
バトミントン             ソフト     テニス   ゴルフ    

  
卓球,バトミントン,バレー ダンス    サッカー     テニス   ハンドボール  
バスケ,卓球,バトミントン       サッカー     テニス         

  
卓球,バスケ            サッカー     テニス         
バスケ                      テニス         
 後期

  
  
  

  
卓球,バレー,バトミントン
トータルフィットネス     
     
     
サッカー    
      
テニス  
    
      
      

  
バトミントン,ニュースポーツ,
エアロビ       
     
     
フットサル   
      
テニス  
    
ニュースポーツ  
      

  
ニュースポーツ,バスケ,バド 健康柔道  野球     テニス   ニュースポーツ  
ニュースポーツ,バトミントン  健康柔道  野球     テニス   ニュースポーツ  

  
  
卓球,ニュースポーツ,バド ダンス    サッカー     テニス   ニュースポーツ  

  
ニュースポーツ,バスケ,バレー
卓球,バトミントン   
     
     
サッカー    
      
テニス  
    
ニュースポーツ  
      

  
  
卓球,バスケ,バトミントン       ソフト,サッカー             

  
ニュースポーツ,バトミントン 
バスケ,バレー,卓球  
     
     
フットサル,サッカー
      
テニス  
    
ニュースポーツ  
      

  
  
バトミントン,バスケ,卓球 剣道    野球     テニス   ハンドボール  
バド,バスケ,バレー,卓球 剣道           テニス         
バレー,バスケ            サッカー     テニス         
   課外活動の利用状況は,前記の授業以外の時間について平日,休日を問わず夜10時まで
  行事等で使用できない日を除き,ほぼ毎日サークル,クラブが利用している。各サークル等
  の届出団体は,種目別にみると次のとおりである。

施  設  名 種    目 団体数 備        考
体育館      
         
         
         
卓球            1                
バレーボール        3                
バドミントン        3                
バスケットボール      9                
武道場      
         
         
         
         
         
         
合気道           1                
少林寺           1                
東洋拳法          1                
極真空手          1                
剣道            1                
秘伝武術          1                
太極拳           1                
グランド     
         
         
         
         
         
         
アメリカンフットボール   1                
サッカー         24                
野球           11                
ラグビー          2                
マラソン          1                
ラクロス          2                
タッチフット        1                
ハンドボールコート ハンドボール        2  体育館も使用       
テニスコート    テニス           9  硬式,軟式とも      
合   計  76                

 6 通信衛星(SCS)関係の施設・設備
 SCS装置は,平成8年度に放送教育開発センターから管理換を受けて設置され,この装
置は,屋外設備としてアンテナ装置・送受信装置,屋内設備として回線制御装置・運用管理
装置及びD300教室に屋内監視制御装置・映像音声制御装置で構成されている。この装置
は,D300教室(530人収容)に設置しており,D300教室は授業で使用する頻度が
高いため,SCS装置は17時以降しか使用できない場合が多く使用頻度が低い状況である。
 加えて,SCS装置の操作を担当する職員が配置されていないため,教官自らが操作して
使用しているが,操作できる教官が少ないことも,使用頻度が低い原因の一つである。

 7 教育機器
    教室に設置している教育機器のほかに,貸出し用として事務室に保管している教育機器に
   ついては,次のとおりである。これらの教育機器についても,老朽化が目立ち更新する必要
   がある。

       貸出し用の教育機器一覧物品


教  育  機  器 台 数
OHP                 7 
スライドプロジェクター         5 
ビデオプロジェクター(VTRを含む    2 
マルチメディアプロジェクター      6 
テレビコンバーター           1 
移動式ビデオ装置一式          8 
VTR(Hi8)              1 
カセットテ−プレコ−ダ−      10 
16mm映写機              1 
8mm映写機               1 
携帯用アンプ              4 
移動式スクリーン            2 
ノートパソコン(DOS/V)      2 
ノートパソコン(Mac)        3 
MO                  2 
Zip                 1 
CD−R                1 
MDCDプレイヤー           2