教養教育に関するとらえ方
 
 本学では、大学設置基準の大綱化を契機に、従来の一般教育科目と専門教育科目という区分を廃止し、4(医学部医学科は6)年一貫教育の体制に再編成し、平成5年度から実施した。学部教育全体の統合性を高めることによって、一般教育と専門教育の有機的な連携を図ることを意図した。そこで、従来の一般教育科目に相当する部分を「全学共通授業科目」として新たに編成し直し、その根幹に人文・社会・自然の3分野に則した主題別編成の「教養原論」を位置づけ、それに「外国語科目」、「健康・スポーツ科学」、「専門基礎科目」、「資格免許のための科目」及び「その他必要と認める科目」を加えて、教養教育を実施している。
 本学の教養教育は、4(6)年一貫教育の中で専門教育と相補的な役割分担を果たすことにはなっても、その予備的役割を果たすものではないという考え方を基本としている。これに基づき、教養原論を相互に有機的関連性のある厳選された主題のもとに設定し、人文・社会・自然の3分野の計32科目で構成している。学生は,従来のように3分野を均等に履修するのではなく、学部・学科ごとに、3分野の中で専門に対応する分野を除く2分野の教養原論を、2〜3年次に選択必修科目として履修することになる。
 一方、4(6)年一貫教育のもとで、学生は幅広い教養を身につけるだけでなく、それぞれの専門領域における基礎的知識の習得も重要になる。そこで、従来の一般教育科目及び専門教育科目として開講していた科目から、専門領域での知識の習得に向けて、その基礎となる科目を整理統合し、専門の基礎教育、準備教育、導入教育として、複数の学部・学科の専門教育に組み込んだのが専門基礎科目である。
 さらに外国語科目では、国際社会で知的に責任のある振る舞いをするために、あるいは、専門的な知識を学ぶための不可欠な外国語の運用能力を育成するとともに、人文・社会・自然の3分野にわたる外国語教材を学ぶことにより、専門領域だけに限らない様々な領域にわたる学習機会によって、グローバル化時代に対応できる幅広い教養の習得を目指している。
 このように、本学の学部段階の教育体制は、4(6)年一貫教育のカリキュラム編成を堅持しながら、本学の全学生に知的市民としての使命の自覚を促すための教養教育、それぞれの専門における学識を深める専門基礎教育、その両者を実現するために必須となる外国語教育という構成によって、教養教育と専門教育とを有機的に連携することとした。