平成18年度前期 全学共通授業科目 学生による授業評価

 

実施要領

(1)実施時期 

 平成18年7月3日(月)〜7月24日(月)

 

(2)実施率・有効回答率

 平成18年度前期の授業評価対象科目数は昼間主コース839科目、夜間主コース34科目、の計873科目であった。そのうち学生による授業評価を実施し分析したものは、それぞれ779科目(92.8%)、24科目(70.6%)の計803科目(92.0%)である。実施率は平成17年度前期(90.7%)を1ポイント強上回った。

 昼間主コース、夜間主コースの授業評価対象科目の履修登録学生数(のべ)はそれぞれ47,851名、777名の計48,628名であり、回答した学生(のべ)はそれぞれ19,463名(40.7%)、136名(17.5%)の計19,599名(40.3%)である。なお、学生授業評価を実施した803科目についての平均回答率は44.4%である。

授業中に担当教員が質問紙を配布して学生に記入させて回収する方式であった平成17年度前期(64.3%)と比べて回答率が大きく減少しているが、これはWeb方式への全面移行によるものと思われる。

 

(3)Web方式への全面移行

 今学期は全科目をWeb方式で行なった。アンケート期間内に担当教員が授業中にビラを配布して説明し、可能な学生については授業中に携帯電話により回答を入力してもらった。情報基礎についても他の科目と同様の方式とした。Web方式による回答率を昨年度同じ方式で施行した科目群と比較すると、教養原論については平成17年度前期・後期はそれぞれ31.7%、46.9%であり、平成18年度前期は新・旧カリキュラム全体で34.2%とそれらの中間である。平成17年度後期は英語の一部をWeb方式で実施し73.6%という比較的高い回答率を得たが、平成18年度前期は48.8%であり、2割以上低くなっている。回答率を高めるために何らかの対策を講じることが必要である。

 なお、別紙1をみると、回答率は旧カリキュラム(22.7%)が新カリキュラム(51.5%)の半分以下であり、新カリキュラムについては夜間主コースの回答率は3割を下回っているのに対して、昼間主コースは共通専門基礎(45.8%)以外はすべて5割を上回っている。旧カリキュラムや夜間主コースを受講する学生へのWEB方式による授業評価についての説明と協力要請が足りなかったように思われる。それも含めて、個々の担当教員が回答率を高めるための工夫と努力をすることが大切である。

 

 

(4)質問項目の削減

 質問項目はWeb方式に全面移行すると回答率の低下が予測されたため、回答者の負担を軽減することにして、質問項目を見直して選択式は共通5項目に絞った。なお、質問紙の最後に自由記述回答欄を設け、「この授業で良かった点、不満な点、改善すべき点があれば記入してください。」と表示した。新しい尺度を以下に示す。

 

(1)この授業にどれくらい出席しましたか。

1.30%以下 2.30%−50% 3.50%−70% 4.70%−90%

5.90%以上

 

この授業及び担当教員について、(2)〜(5)の事項はどの程度あてはまりますか。5段階で評定してください。

(2)成績評価の方法・基準が明確に示されていた。

1.全くそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらともいえない 

4.ややそう思う 5.全くそう思う

 

(3)教科書・資料は適切だった。

   1.全くそう思わない 2.あまりそう思わない 3.どちらともいえない 

4.ややそう思う 5.全くそう思う

 

(4)授業の進み具合はどうでしたか。

   1.遅すぎる 2.やや遅い 3.ちょうどよい 4.やや速い 5.速すぎる

 

(5)総合的に判断して、この授業を5段階で評定してください。

   1.全くためにならなかった 2.あまりためにならなかった 

3.どちらともいえない  4.ややためになった    5.大変ためになった

 

分析結果

 新旧カリキュラム別、コース別、入学年別、学部別、出席率(5段階)別、及び、新旧カリキュラムのそれぞれについて区分別に集計した回答率と項目平均値を別紙1にまとめる。なお、すべて5段階(1〜5)であり、授業進度を除き点数が高いほどよい評価となる。個々の授業の平均値をもとに授業科目ごとの平均を算出したものを別紙2にまとめる。

 

(1)区分別

授業進度以外の4項目については全て平均が3.5以上であり、総合判断と成績評価は3.75以上である。授業進度は3より少し高い値である。3が「ちょうどよい」で5が「早すぎる」であり、問題はない。カリキュラムの新旧による平均値の際はほとんどない。昼間主コースと夜間主コースと比較すると、出席率は昼間主コースがやや良く、教科書、成績評価、総合評価については夜間主コースがやや悪い。

 

 


(2)項目別

 分析対象となった808科目について、5つの質問項目の平均値を求め(別紙2)、その分布を調べることにより、平成18年度前期の全学共通授業科目の実施状況を考察する。

 

 

表 各項目の平均値の分布(N=808) (%)

 

 

 

 

 

 

 

 

出席率

成績評価

教科書

授業進度

総合判断

4.5<X<=5.0

73.8

9.0

6.1

0.4

7.9

4.0<=X<4.5

17.3

24.9

19.6

2.6

29.0

3.5<=X<4.0

5.8

31.8

34.3

11.4

32.8

3.0<=X<3.5

1.7

21.7

22.8

47.8

20.3

2.5<=X<3.0

0.7

10.6

14.0

35.0

8.2

2.0<=X<2.5

0.4

1.6

2.5

2.2

1.4

1.5<=X<2.0

0.0

0.2

0.6

0.5

0.4

X<1.5

0.2

0.1

0.2

0.1

0.1

 

a.出席率

 出席率は9割以上の科目が平均4以上である。「4」は9割以上出席であるから、どの授業も出席状況は概ねよいと言える。

 

 

b.成績評価

 成績評価について3.5から4.0にピークがきている。全体の約34%が平均値が4.0以上であり、概ね成績評価の基準が明確と評価されている。平均3未満の科目が8分の1あり、これらは改善が求められる。

 

c.教科書

 教科書・資料の適切性については成績評価と同様、3.54.0のところにピークがあるが、3未満の科目は17%、2.5未満の科目も3%あり、見直しが求められる。

 

d.授業進度

 授業の進め方は3が「ちょうどよい」であり、2は「やや遅い」である。平均値が3.03.5のところに48%、2.53.0のところに35%の授業が含まれる。概ね学生は現在の進み具合でよいか、「どちらかといえば遅い」と感じている。

 

e.総合評価

 総合評価は平均値が3.5以上のところに約7割、4.0以上のところに約3割の授業がきており、2.5未満は全体の2%に満たない。全学共通授業科目全体では学生に「ためになった」と評価されているとみなし得るだろう。

 

(3)出席率と授業評価との相関

 今回はとくに学生が自己申告した出席率と授業評価との関係を見てみることにする。学年別に出席率と他の質問項目との相関係数を求めてみたところ、表に示すように、総合評価については全ての学年について有意な相関があり、1年と4年以上は他のすべての項目も相関が有意であることが確かめられた。すなわち、総合評価についてはどの学年でも出席率が高いほどよくなる傾向がある。こうした正の相関関係は1年と4年以上は成績評価の基準の明確性や教科書・資料の適切性についてもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回答者

出席率との相関

 

N

%

成績評価

教科書

授業進度

総合判断

1年

16805

85.7%

0.17

0.18

-0.03

0.27

2年

2414

12.3%

0.07

0.14

0.01

0.21

3年

307

1.6%

0.02

0.05

0.09

0.31

4年以上

73

0.4%

0.34

0.15

0.23

0.30

 

19599

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有意(p<.05)

 

 

 以下の図に示すように、全体、あるいは、学年別のグラフをみると出席率を「1」と答える学生と「5」と答える学生とは総合評価の値が2ポイント近く異なる。従って「出席率の悪い学生のデータを除外すべき」という議論が出てくるのは当然であろう。

 

 

 しかしながら、下表に示すように出席率について7割未満と回答する学生の割合はごくわずかであり、彼らを除外しても平均値はほとんど変化しない。あるいは「出席率が9割以上の学生の評価だけを考慮すべき」という議論もあるだろう。しかし、学生の出席率があまり高くない授業もあるのでこうした操作は現実的ではない。出席率の善し悪しは一概に学生の態度だけによるものではなく、授業の面白さ、教員の熱意や話し方や親切さなども大いに影響すると考えられる。さまざまな要因を考慮することなしに他の科目と平均値だけを比較して授業の出来不出来を云々するようなことをせず、慎重によく吟味するなら、出席率の低い学生のデータを分析から除外しなくてもよいのではなかろうか。

 

回答者数

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学年

 

 

 

合計

 

 

4年以上

3年

2年

1年

出席率

30%以下

3

17

53

337

410

2.1%

30%−50%

5

7

74

259

345

1.8%

50%−70%

10

24

182

678

894

4.6%

70%−90%

19

74

517

2052

2662

13.6%

90%以上

36

185

1588

13479

15288

78.0%

合計

73

307

2414

16805

19599