2002年度後期学生による授業評価

 

■実施概要■

 

(1)実施時期

 冬期休業後の平成15114日(火)〜1月27日(月)。

(2)実施方法

 授業中に配布し、回収。ただし、健康スポーツ科学の実技については、事後回収とした。

(3)実施対象

 大学教育研究センターが開講する全ての全学共通授業教育科目。昼間主コースの後期開講科目644科目、夜間主コースの後期開講科目44科目。

(4)回収数

 後期の履修登録者数は、昼間主コースが延べ37,767名、夜間主コースが1,447名。そのうち、今回回答が提出されたのは、昼間主コースで22,297名、夜間主コース909名で、回収率はそれぞれ59.4%62.8%であった。

(5)評価項目

 評価項目は大きく3つからなる。

@受講生の授業に対する態度(出席率、予習時間、受講態度)。

A教員の授業行動や授業の内容について(熱意、学生への接し方、板書、教材の内容など)。この部分は、授業の形式(講義、実験・実習、既習外国語、未習外国語、健康スポーツ科学実技)に応じて内容が異なる。

B授業の効果(満足度、理解度、興味が増したかなど)。

これらの項目について、5点法で学生に評価してもらった。したがって、評点は1点(大変悪い)から5点(大変良い)まで変異し、3点が中間(平均)となる。

 なお、クラスサイズ(学生の数)は1点が「多すぎた」、2点が「やや多かった」、3点が「ちょうどよいサイズだった」、4点が「やや少なかった」、5点が「少なすぎた」である。

 


■昼間主■

 

1.全学共通授業科目の評価−全体−

 

科目区分

全体

教養原論

外国語

健スポ

基礎科目

その他

回答数

22161

6181

10565

935

3952

528

出席率

4.44

4.22

4.60

4.56

4.29

4.53

予習時間

2.18

1.43

2.77

1.27

2.06

1.48

受講態度

3.26

3.00

3.35

4.23

3.22

2.98

教員の熱意

3.81

3.74

3.83

4.45

3.70

3.65

学生に親切

3.74

3.56

3.85

4.33

3.67

3.16

評価基準が明確

3.52

3.34

3.65

3.80

3.40

3.60

クラスサイズ

2.63

2.34

2.87

2.86

2.47

2.06

理解度

3.30

3.16

3.41

3.94

3.11

3.28

興味が増した

3.40

3.40

3.38

4.05

3.31

3.31

科目に合った内容

3.95

3.80

4.04

4.45

3.83

3.75

総合評価

3.72

3.61

3.78

4.33

3.61

3.56

 

(1)出席率は極めて高い。

(2)授業内容がそれぞれの科目区分にふさわしいものであったことが高く評価されている。

(3)教官の授業に対する熱意、学生に対する親切な対応もかなりよく評価されている。

(4)それぞれの授業への予習時間は非常に少ない(とくに「教養原論」、「その他」。なお、「健康・スポーツ科学」は、ほとんどが実習科目)。

(5)受講生の数は全体に「やや多い」と評価されている。

(6)受講した授業に学生は、やや満足である。

(7)「健康・スポーツ科学」の評価がきわめて高い。総合評価だけでなく、7つの項目について最高の平均値であり、しかも、4以上である。

(8)「その他」が、他の区分と比べて評価が低い。総合評価、興味の増加、教官が学生に親切、受講態度について最低の平均値である。


2.教養原論

 

科目区分

教養原論

人文分野

社会分野

自然分野

回答数

6181

2243

2919

1019

出席率

4.22

4.26

4.22

4.15

予習時間

1.43

1.50

1.37

1.45

受講態度

3.00

3.10

2.93

2.97

教員の熱意

3.74

3.77

3.70

3.81

学生に親切

3.56

3.53

3.53

3.68

評価基準が明確

3.34

3.36

3.18

3.73

授業の準備

3.80

3.81

3.69

4.09

話し方

3.57

3.48

3.64

3.58

板書・OHP

3.00

3.11

2.86

3.19

教科書・資料

3.40

3.52

3.30

3.39

私語への注意

3.39

3.51

3.27

3.46

シラバス通り

3.51

3.58

3.36

3.78

クラスサイズ

2.34

2.32

2.33

2.39

理解度

3.16

3.34

3.09

2.95

興味が増した

3.40

3.48

3.37

3.31

科目に合った内容

3.80

3.84

3.79

3.74

総合評価

3.61

3.68

3.58

3.52

 

(1)出席率は極めてよい。

(2)内容は科目にあっていると評価されている。

(3)教官の授業の準備、熱意についての評価が高い(とくに、自然分野)。

(4)理解度については自然分野がやや悪い。

(5)板書・OHPの使用の仕方については社会分野がやや悪い。

(6)クラスサイズには不満(多い)。
3.外国語

 

科目区分

外国語

英語

独語

仏語

中国語

ロシア語

回答数

10565

5571

1988

1050

1856

100

出席率

4.60

4.59

4.58

4.55

4.69

4.36

予習時間

2.77

2.69

2.93

2.90

2.75

3.10

受講態度

3.35

3.30

3.34

3.51

3.43

3.32

教員の熱意

3.83

3.72

3.92

3.94

4.01

3.80

学生に親切

3.85

3.68

4.02

4.03

4.07

3.94

評価基準が明確

3.65

3.65

3.67

3.77

3.56

3.74

テキストの分量

2.68

2.72

2.74

2.78

2.46

2.81

テキストの内容

2.68

2.80

2.62

2.67

2.36

2.73

教材が興味深い

3.21

3.29

3.02

3.22

3.17

3.30

オーラル・コミュニケーション

3.21

3.38

3.10

3.21

3.29

3.17

リーディング・ライティング

3.58

3.44

3.59

3.59

3.59

3.67

授業の進度

3.31

3.24

3.34

3.40

3.43

3.31

クラスサイズ

2.87

2.81

2.95

3.00

2.88

3.04

理解度

3.41

3.44

3.32

3.36

3.43

3.30

興味が増した

3.38

3.32

3.34

3.55

3.49

3.46

科目に合った内容

4.04

3.98

4.11

4.16

4.10

3.91

総合評価

3.78

3.69

3.84

3.96

3.87

3.81

 

<評価の高い項目>

(1)学生の授業への出席率。

(2)科目区分にふさわしい内容。

(3)教官が学生に親切。

(4)教官の授業への熱意。

 

<評価の低い項目>

(1)テキストの分量(やや多い、とくに「中国語」)。

(2)テキストの内容(やや難しい、とくに「中国語」)。

(3)学生の予習時間(とくに「中国語」)。

(4)クラスサイズがやや多い(「英語」、「中国語」)。


4.健康・スポーツ科学

 

科目区分

実技

回答数

935

出席率

4.56

予習時間

1.27

受講態度

4.23

教員の熱意

4.45

学生に親切

4.33

評価基準が明確

3.80

運動量

3.07

実技指導

3.94

生涯スポーツ

3.73

安全指導

3.89

体力維持・増進

3.96

シラバス通り

3.72

クラスサイズ

2.86

理解度

3.94

興味が増した

4.05

科目に合った内容

4.45

総合評価

4.33

 

<評価の高い項目>

(1)学生の出席率。

(2)科目区分にふさわしい内容。

(3)教官の授業への熱意。

(4)教官が学生に親切。

(5)総合評価。

(6)学生の受講態度。

 

<評価の低い項目>

(1)クラスサイズがやや多い。


5.専門基礎科目

科目区分

専門基礎

専門基礎1

専門基礎

専門基礎2

専門基礎2

専門基礎

項目

全体

 

その他

 

講義

実験・実習

回答数

3952

16

1284

2589

2065

524

出席率

4.29

3.88

4.01

4.43

4.34

4.80

予習時間

2.06

1.81

1.41

2.40

2.28

2.84

受講態度

3.22

3.25

3.01

3.32

3.15

3.98

教員の熱意

3.70

3.88

3.74

3.67

3.66

3.73

学生に親切

3.67

3.94

3.65

3.67

3.61

3.88

評価基準が明確

3.40

3.81

3.43

3.38

3.42

3.22

授業の準備

 

4.00

3.92

 

3.64

 

話し方

 

3.94

3.61

 

3.41

 

板書・OHP

 

3.50

3.03

 

3.25

 

教科書・資料

 

3.88

3.43

 

3.30

 

私語への注意

 

3.63

3.36

 

3.34

 

課題の分量

 

 

 

 

 

2.66

課題の内容

 

 

 

 

 

2.48

説明・支持

 

 

 

 

 

3.62

個人指導

 

 

 

 

 

3.60

レポートへの対応

 

 

 

 

 

3.43

シラバス通り

3.49

3.81

3.49

3.48

3.43

3.67

クラスサイズ

2.47

2.80

2.38

2.51

2.44

2.75

理解度

3.11

3.31

3.19

3.06

2.98

3.36

興味が増した

3.31

3.69

3.37

3.26

3.16

3.66

科目に合った内容

3.83

3.94

3.80

3.84

3.79

4.02

総合評価

3.61

4.06

3.61

3.60

3.48

4.06

*専門基礎1は社会分野

 

 

 

 

 

 

<評価の高い項目>

(1)学生の授業への出席率。

(2)実験・実習は、総合評価、科目区分にふさわしい授業内容、受講態度、教官が学生に親切が高く評価されている。

(3)専門基礎1は、学生に親切、科目にふさわしい授業内容と評価されている。

<評価の低い項目>

(1)学生の予習時間(とくに「専門基礎1」「専門基礎その他」)。

(2)実験・実習の課題について多く、難しいと思われている。


【専門基礎科目・講義】

 

科目区分

講義全体

数学

物理学

化学

生物学

地学

情報

回答数

2065

982

650

187

62

58

126

出席率

4.34

4.33

4.31

4.56

4.67

4.09

4.29

予習時間

2.28

2.32

2.63

1.78

2.36

1.47

1.29

受講態度

3.15

3.28

3.00

3.07

3.52

2.93

2.95

教員の熱意

3.66

3.77

3.53

3.65

3.67

3.30

3.63

学生に親切

3.61

3.72

3.53

3.69

3.11

3.18

3.50

評価基準が明確

3.42

3.62

3.28

3.26

3.74

2.91

2.90

授業の準備

3.64

3.79

3.44

3.67

3.98

3.51

3.29

話し方

3.41

3.42

3.31

3.55

3.51

3.12

3.67

板書・OHP

3.25

3.40

3.12

3.11

2.80

2.82

3.39

教科書・資料

3.30

3.41

3.32

2.94

3.57

2.96

2.92

私語への注意

3.34

3.39

3.25

3.48

4.07

3.09

2.95

シラバス通り

3.43

3.48

3.40

3.46

3.61

3.21

3.17

クラスサイズ

2.44

2.46

2.42

2.36

2.58

2.37

2.54

理解度

2.98

3.04

2.85

2.81

3.52

3.00

3.22

興味が増した

3.16

3.14

3.09

3.04

3.69

3.25

3.56

科目に合った内容

3.79

3.89

3.68

3.60

4.21

3.61

3.75

総合評価

3.48

3.56

3.32

3.38

4.02

3.31

3.71

 

<評価の高い項目>

(1)   学生の出席率。

(2)   科目にあった内容(とくに「生物学」)

(3)   「生物学」は総合評価が他より群を抜いて高く、4以上。

<評価の低い項目>

(1)学生の予習時間。

(2)理解度(「物理学」「化学」)。

(3)クラスサイズは多い。


【専門基礎科目・実験、実習】

 

科目区分

 

物理学

化学

生物学

地学

図学

情報科学

項目

全体

実験

実験

実験

実験

演習

演習

回答数

524

69

146

21

18

86

184

出席率

4.80

4.86

4.91

4.67

4.94

4.84

4.66

予習時間

2.84

4.00

4.08

2.95

1.83

2.49

1.66

受講態度

3.98

3.72

4.01

3.76

3.50

3.90

4.17

教員の熱意

3.73

3.25

3.75

3.33

3.72

3.27

4.16

学生に親切

3.88

3.42

3.99

3.57

4.28

3.45

4.16

評価基準が明確

3.22

2.90

3.21

3.33

3.33

3.10

3.38

課題の分量

2.66

2.39

2.53

3.05

2.56

2.60

2.85

課題の内容

2.48

2.42

2.35

2.38

2.44

2.51

2.62

説明・指示

3.62

3.13

3.98

3.14

3.22

3.42

3.71

個人指導

3.60

3.14

3.79

3.43

3.61

2.99

3.93

レポートへの対応

3.43

2.97

3.34

3.62

3.22

3.15

3.79

シラバス通り

3.67

3.45

3.83

3.86

3.61

3.19

3.83

クラスサイズ

2.75

2.99

2.86

2.86

2.94

2.85

2.51

理解度

3.36

3.26

3.34

2.95

3.06

3.27

3.54

興味が増した

3.66

3.30

3.58

3.48

3.50

3.44

4.01

科目に合った内容

4.02

3.72

4.24

4.00

3.82

3.49

4.22

総合評価

4.06

3.76

4.07

3.86

3.59

3.88

4.31

 

<評価の高い項目>

(1)学生の授業への出席率はほとんど100%。

(2)総合評価(「化学実験」「情報科学演習」)

(3)科目にふさわしい内容(とくに「化学実験」「生物学実験」「情報科学演習」)

(4)教官が学生に親切(とくに、「地学実験」「情報科学演習」)

(5)学生の受講態度(とくに、「化学実験」「図学演習」「情報科学演習」)

(6)「物理学実験」「化学実験」だけは学生がしっかり予習している。

(5)「情報科学演習」は興味が増した。

<評価の低い項目>

(1)予習時間(「物理学実験」「化学実験」を除く)。

(2)課題が多く、難しい(「物理学実験」「化学実験」「情報科学演習」)。

(3)クラスサイズは多い。

 


6.その他の必要と認める科目

 

科目区分

その他

人権

総合教養科目

項目

全体

 

 

回答数

528

200

328

出席率

4.53

4.43

4.58

予習時間

1.48

1.27

1.61

受講態度

2.98

2.90

3.02

教員の熱意

3.65

3.94

3.48

学生に親切

3.16

3.35

3.04

評価基準が明確

3.60

3.65

3.57

授業の準備

3.69

3.72

3.66

話し方

3.05

3.06

3.05

板書・OHP

2.91

3.06

2.83

教科書・資料

3.27

3.38

3.20

私語への注意

3.59

3.66

3.54

シラバス通り

3.52

3.48

3.54

クラスサイズ

2.06

2.30

1.91

理解度

3.28

3.48

3.15

興味が増した

3.31

3.43

3.23

科目に合った内容

3.75

3.95

3.62

総合評価

3.56

3.71

3.47

 

<評価の高い項目>

(1)学生の出席率。

(2)教官の授業に対する熱意(「人権」)。

<評価の低い項目>

(1)学生の予習時間はほとんど0。

(2)クラスサイズ(多い、とくに「総合教養科目」)。

(3)板書・OHP(「総合教養科目」)

(4)学生の受講態度(「人権」)


■まとめ

 まず、全体について総評を述べる。下表が示すように平成14年度後期の学生による授業評価の結果は、総合評価が前年度より高くなった(約0.2)以外は、ほとんど変化がない。教官の熱意や教官の学生に対する親切な応対、さらに、興味や理解度がわずかであるが前年度より上昇しており、そうしたことが結果として総合評価を押し上げたものと解釈できる。ただし、クラスサイズについては、わずかであるが「多い」とする不満は前年度よりも増えている。

 

 

2000後

2001後

2002後

総合評価

3.61

3.53

3.72

内容適合

4.05

3.93

3.95

教官熱意

3.98

3.79

3.81

教官親切

3.85

3.71

3.74

興味増加

3.45

3.36

3.40

理解度

3.39

3.27

3.30

クラスサイズ

2.76

2.75

2.63

 

 右の図が示すように、自己評価であるが、出席率が高く、予習時間が少ないという傾向は全学共通科目の多くの科目に共通して見られる特徴である。学生自身が自分の受講態度をそれほどよく評価していないが、今後、理解度や興味を高める授業をすることにより、受講態度ももっとよくなっていくものと予想される。

 厳密な成績評価とそれぞれの単位履修のための十分な自学自習の時間が、現在の大学評価にとって重要な指標となっている。こうした現在、学生が自主的に、また、積極的にそれぞれの科目についての勉学を進めていけるように支援していくための方策を、組織的に考えていくことが求められている。これらが全学共通授業科目についても大きな課題となっていると結論できるだろう。

 次に、個別の科目(区分)についてみてみる。下表は総合評価の高い科目(区分)のリストである。理系に評価の高い科目が多くみられることが一目でわかる。生物学講義が高い評価を受けていることも注目に値する。なお、仏語は3.967位であり、他の外国語に比べても評価が高かったことを付け加えておく。

 

       表 総合評価4.0以上の科目

 

1

健康・スポーツ科学(実技)

4.33

2

情報科学演習

4.31

3

化学実験

4.07

4

専門基礎1

4.06

5

専門基礎実験・実習

4.06

6

生物学講義

4.02

 

 次に、総合評価が他の科目より低い(3.6未満)の科目(区分)をみてみることにする。下表が示すとおり、専門基礎の講義と理系に総合評価の低い科目がみられる。評価が低いといっても、3以上であり、学生には「どちらかといえばよいほう」とみなされているわけであるから、問題であるとは言えない。教官の熱意や学生に対する親切さについては、地学講義、総合教養科目を除き、他の科目とあまり違いがない(教養原論(自然分野)は他の分野よりも教官は熱意があると評価されている)。しかしながら、総合評価の比較的低い科目には理解度(物理学講義、化学講義、教養原論「自然分野」)が3未満であるものが多く、学生の理解度を反映した授業の内容・進度となっているか点検してみる必要があるように思われる。

 

      表 総合評価が3.6未満の科目

 

1

地学講義

3.31

2

物理学講義

3.32

3

化学講義

3.38

4

総合教養科目

3.47

5

教養原論(自然分野)

3.52

6

数学講義

3.56

7

地学実験

3.59