平成15年度前期 全学共通授業科目 学生による授業評価 結果概要

■ 実施概要 ■
実施時期
 平成15年7月3日(木)〜7月16日(水)

実施率・有効回答率
 平成15年度前期の開講科目数は昼間主コース584科目、夜間主コース29科目の計613科目であった。そのうち学生による授業評価を期間内に実施し、分析出来たものはそれぞれ520科目(89.0%)、27科目(93.1%)の計547科目(89.2%)である。
 昼間主コース、夜間主コースの履修登録学生数はそれぞれ39796名、1594名の計41390名であり、回答した学生はそれぞれ24780名(62.3%)、982名(61.6%)の計25762名 (62.2%)であった。

項目
 今回から項目を大幅に見直し全面的に改めた。項目については全科目に共通な選択式11項目と自由記述項目のほかに、オプションを設定した。ここでは全科目共通の11項目の分析結果を報告する。

全体・種類別集計
 コース別、授業形態別、区分別、教科集団別に算出した項目の平均値を別紙1にまとめる。 なお、教室施設のみが段階(1〜3)、それ以外はすべて5段階(1〜5)尺度であり、授業進度を除き点数が高いほどよい評価となる。授業進度については1が「遅すぎる」、3が「ちょうどよい」、5が「早すぎる」であり、3に近い値ほどよく評価されていることになる。

授業科目別集計
 個々の授業の平均値をもとに授業科目ごとの平均を算出したものを別紙2にまとめる。
なお、コードの最上位が1の科目は昼間主コースであり、2の科目は夜間主コースである。

■ 分析結果概要 ■
全体
 昼間主・夜間主ともに授業進度(3が「ちょうどよい」)と教室施設の項目(3段階評価)を除き、平均が3を下回っている項目はひとつもない。項目別に見ると、出席がきわめてよく、教員の熱意、学生への接し方が次によい。比較的評価が低い項目は授業進度である。こうした傾向は昼間主・夜間主の違いはない。昼間主と夜間主とを比較すると出席を除き、夜間主が昼間主をわずかではあるが上回っている。特に話し方、成績評価(基準の明確さ)、授業理解、総合判断が0.1以上よい。これは夜間主コースの担当教員が昼間主コースより熱心に授業をしたことにより総合判断もよりよく評価されたものと解釈できる。

















授業形態
 授業形態により授業評価に違いがみられている。授業進度、教室施設、教科書の3つ以外は健康・スポーツ科学が最も評価が高い。これに対して、講義は出席、総合判断について評価が最も悪い。外国語第Uは教室施設、成績評価を除く9項目で外国語第Tを上回っている。健康スポーツ科学や外国語第Uは教室施設が悪いにもかかわらず、総合判断が他よりよいことは注目に値する。




















区分




 昼間主、夜間主ともに、どの区分についても出席が極めてよく(平均4.5前後)、次に教員の熱意、教員の学生への接し方がよく、授業理解が比較的悪い。区分別にみると、健康スポーツ科学が一番よく、次が外国語であり、教養原論、専門基礎科目、その他が比較的よくない。教室施設は3段階評定であり、どれも平均を上回っており、現状では問題ないといえる。

教科集団別(昼間主)
 出席率と教室施設以外の項目について各教科集団の担当科目群の平均を比較してみると、平均4.0以上と評価が高いものは、次のとおり。

(昼間主)
 教員熱意:健康スポーツ科学(4.48)、外国語第U(4.15)
 接し方:健康スポーツ科学(4.36)、外国語第U(4.19)、情報科学(4.01)
 話し方:健康スポーツ科学(4.28)
 総合判断:健康スポーツ科学(4.17)、外国語第U(4.02)
(夜間主)
 教員熱意:教養原論(自然)(4.46)、外国語第U(4.29)、専門基礎科目(講義)(4.03)
 接し方:教養原論(自然)(4.64)、外国語第U(4.28)
 成績評価:教養原論(自然)(4.18)
 話し方:教養原論(自然)(4.69)、外国語第U(4.09)、外国語第T(4.07)
 私語注意:外国語第U(4.10)、外国語第T(4.06)
 総合判断:教養原論(自然)(4.24)、外国語第U(4.16)、専門基礎科目(講義)(4.00)

 これに対して、平均3未満と評価が比較的低いものは次のとおり。

 話し方:人権(2.82)、総合教養科目(2.90)
 私語注意:人権(2.87)
 授業理解:地学(2.55)、図学(2.83)、情報科学(2.84)、化学(2.91)、物理学(2.97)

(夜間主)
 該当なし

自由記述から−特に教室の設備・環境面について
 問10の教室の設備・環境に対する評価が低い者が、どういった点に不満や要求をもっているかを、自由記述欄の内容からみてみることにする。次の表は問10についての自由記述欄(アンケート裏面)
に記述があった、のべ4826名の学生のコメントを分類してみたものである。

項目

人数

%(N=4826)

暑い・クーラーつけて・風通し

2711

56.2%

大人数・狭い

429

8.9%

視聴覚機器・実験装置

355

7.4%

エアコン調節等

327

6.8%

イス・机・教壇

257

5.3%

グラウンド・雨対策

254

5.3%

騒音

65

1.3%

更衣室

53

1.1%

私語

50

1.0%

床・汚い

48

1.0%

体育館・武道場

41

0.8%

トイレ

37

0.8%

カーテン・ブラインド

23

0.5%

暗い・照明

20

0.4%

雨漏り

15

0.3%

悪臭

11

0.2%

 

 

 

B棟

44

0.9%

D棟

12

0.2%

C棟

6

0.1%

K棟

4

0.1%

 

 この表からわかるように、教室等の設備・環境面についての現在の学生の最大の不満が教室が暑いこと、つまり、クーラーが設置されていないことへの不満で、2711件あった。これは自由記述欄に記入した(不満を述べた)学生の56%、有効回答者(25762名)の10.5%になる。また、設置されたクーラーの調節が悪いために寒すぎるなど快適な状態にならないといった不満も327件あり、単にクーラーを設置すればよいというわけでもないことがわかる。なお、それ以外で多い不満が、教室が狭い、あるいは、多人数であること(429件)、視聴覚機器(LL設備、OHP、マイク、黒板など)の不足・老朽化(355件)、一体型のイス・机が不便なこと(257件)、であり、その他、グラウンドやテニスコートの改修やトイレ・更衣室の整備・拡充を求める声もあった。まとめると「暑い」、「狭い」、「汚い」という不満が主なものであるといえる。これに対する早急な対処、計画的な整備・拡充が求められる。

■ 今後の課題 ■

 今回の学生アンケートの結果は、これまでの傾向とよく似たものとなっている。
 学生による授業評価は今年度から大幅に変更され、質問項目も選択肢もかなり変わった。また、マークシート方式をやめて普通のアンケート用紙に学生が手書きで記入し、それを業者が入力し、データ処理はセンター研究部で行うことになった。さらに、各教科集団や授業科目ごとにオプション項目を設定して、授業の教育効果を測定することにした。こうした変更が授業評価や授業改善にどのような影響を与えるか、これを見ていくことも今後の課題であろう。参考までに過去4年間の昼間主コース前期のみの全体平均を下表に示す。ここから、2003年度前期がそれまでよりもすべての項目について平均値が上がっているが、これがどういう原因によるものかについては今後の検討が必要だろう。なお、クラスサイズについては、教養原論を中心として従来は「多すぎる」という評価であったが、今回のアンケートの結果ではそうした不満を記述した学生は有効回答者中の1.7%となっており、これは学生抽選により教室の収容定員以下に教養原論のクラスサイズが抑えられたことによると考えられる。

昼間主全体(前期のみ)  

 

 

 

 

 

 

 

 

科目区分

2000

2001

2002

2003

出席率

4.53

4.58

4.56

4.69

予習時間

2.18

2.19

2.16

 

受講態度

3.39

3.32

3.31

 

教官の熱意

3.90

3.74

3.75

3.99

学生に親切

3.74

3.69

3.69

3.97

評価基準が明確

3.47

3.43

3.48

3.71

クラスサイズ

2.74

2.69

2.66

 

科目に合った内容

3.95

3.89

3.88

 

興味が増した

3.36

3.33

3.37

 

理解度

3.32

3.24

3.25

3.45

満足度

3.47

3.45

3.68

3.76