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2020年12月2日にジャンモネCoE主催の神戸大学附属中等教育学校ミニシンポジウムを開催しました。

2020年12月2日(水)、神戸大学ジャンモネCoE主催で、神戸大学附属中等教育学校においてミニシンポジウムを開催しました。
ポーランド出身のヴィエシボフスカ・アガタ神戸大学大学院経済学研究科准教授により「日本・ポーランド関係の過去から未来への展望~シベリア孤児救済事業100周年を記念して~」という論題で、また、長くポーランド経済を研究されてきた家本博一名古屋学院大学経済学部教授により「社会主義時代が終わって30年が経過したポーランド~体制転換の30年間とは~」という論題で講演が行われました。
ヴィエシボフスカ准教授は、最初にポーランドの地理、歴史を説明し、ポーランド分割により従属することとなったロシアに反乱を起こしたポーランド人がシベリアに流刑され、1917年のロシア革命の結果困難な状況に陥ったポーランドの子供たちを日本人が救済した話へと移りました。1920年から22年までに合計290人のシベリア孤児が救済され、東京、大阪で数年間を過ごしたのち、孤児たちはポーランドへ帰還することができ、2002年に平成天皇(現上皇)がポーランドを訪問した際には、3人の孤児らがレセプションに参加し、当時の思い出と感謝を述べていることや、現在の日本・ポーランド関係として政治、経済、文化など多様な協力関係が構築されていることを紹介しました。
家本教授は、最初に自身がなぜポーランドに興味を持ち、研究を始めたかを述べた後、社会主義体制とは何であったかを「All Mightyの政権党」、「不足と余剰の併存」、「建前と本音の使い分け」をキーワードとして説明しました。1989年に社会主義が終焉を迎えた後、人々は新たな時代、新たな社会が直ぐに実現するとの「幻想」を持ったが、1990年改革がもたらした混乱により「幻想」は「失望」、「絶望」に変化し、社会・政治・経済すべてが不安定化していったこと、2004年のEU加盟は、ポーランドに経済的成功をもたらしたものの、旧加盟国への大量の移民、国内での所得・資産格差、雇用・就業機会の格差の拡大が進み、内政の「ポピュリズム化」が著しく進展したこと、そして今後は多様性、流動性の増幅と格差の拡大をいかに均衡させるかが課題であることを述べて講演を終えました。
講演後は、それぞれのテーマについて活発な質疑応答がなされました。
36名の参加生徒によるアンケートにおいて、生徒全員が講義内容は満足(やや満足、満足、たいへん満足)であり、89%の生徒が今後学習を進めるうえで今回の講演を生かしていきたい(やや思う、思う、とても思う)と評価しているように、非常に有意義なシンポジウムとなりました。

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国立大学法人 神戸大学