2022年1月26日にジャンモネCoE主催の神戸大学附属中等教育学校ミニシンポジウムを開催しました。
神戸大学ジャンモネCoEは、2022年1月26日(水)、神戸大学附属中等教育学校生を対象にミニシンポジウムを開催した。ミニシンポジウムでは、
藤野一夫芸術文化観光専門職大学教授(神戸大学名誉教授)が「ドイツ語圏の音楽文化と公共劇場の魅力」、松尾梨沙東京大学総合文化研究科研究員が
「ポーランドを中心に音楽にまつわる話」についての講義を行った。
藤野教授の講義では、まず、ドイツのオペラ演劇の現状について、首都ベルリンには3つのオペラ劇場があり、運営費の50%近い中央・地方政府の補助金によりシーズンには
毎日オペラ上演が行われ、市民は相対的に低額でオペラを鑑賞できるという説明が行われた。次に、ドイツには約80のオペラ劇場があり、オペラ文化が地域に根付いており、
日本の場合、東京ではオペラが日々上演されている一方で、1年に1度もオペラ上演がない県もあることとは対照的であるといったことが述べられた。
以上から、ドイツでは音楽文化の継承に公共劇場が大きな役割を果たしていること、そして機会があれば現地でドイツオペラに触れて欲しいというメッセージが伝えられた。
松尾教授の講義では、まず、ショパンがポーランドの民族リズムであるマズルカやポーランド詩をどのように彼の楽曲に組み込んでいるか、
そしてワルシャワ大学でどのような音楽教育が行われ、ショパンを解釈してきたかが説明された。次に、欧米の音楽教育においてディベートが重視されており、
暗記の教育ではなく、自ら考え、思考を定着させていくことが必要であるというメッセージが伝えられた。
講義後、高校生代表から感謝の言葉が述べられた後、吉井ジャンモネCoEプログラム・コーディネータが、オペラをはじめとして本物を見ることが重要であること、
ディベートを行う上でも学問の基礎を修得しておくことが必要であるという挨拶で、ミニシンポジウムは終了した。