2022年3月4日にジャンモネCoE主催の金蘭千里高等学校ミニシンポジウムを開催しました。
神戸大学ジャンモネCoEは、2022年3月4日(金)、金蘭千里高等学校2年生173名を対象にミニシンポジウムを開催しました。
ミニシンポジウムでは、辻本賢金蘭千里学園理事長の開会の挨拶に続いて、駐日欧州連合代表部政治・広報部学術協力担当リチャード・ケルナー氏、
神戸大学大学院工学研究科応用化学専攻南秀人教授、神戸大学国際連携推進機構国際教育総合センターエルカン・キビリチム特命准教授が講義を
オンラインで行いました。本ミニシンポジウムでは、英語=日本語の同時通訳が行われ、生徒は英語による講義を聞きながら、
日本語の同時通訳を聞き講義への理解を深めることができました。
ケルナー氏は、「The EU in the World and EU-Japan Relations」というタイトルで、EUとは何か、
グローバル・アクターとしてのEU、EUと日本の関係について講義を行いました(英語)。EUとは何かが説明された後、
EUは、多様性の中の統一というモットーの下、EU内の問題だけでなく、人権、気候変動などのグローバルな問題の解決に取り組んでおり、
EUへの留学やEU関連イベントへ参加して欲しいということが強調されました。
南教授は、「身の回りの高分子材料~プラスチックは悪者?~」というタイトルで講演を行いました(日本語)。
高分子材料は、ペットボトル、発泡スチロール、化学繊維などの身近なものだけでなく、
医療、情報などさまざまな分野で使われていることが述べられた後、マイクロプラスチックが有害な影響を与えるかもしれないと言われているが、
高分子材料の功績は極めて大きいことを考えると(Science誌に掲載された嚆矢となったペーパーはその後撤回されていることも踏まえ)、
プラスチックを悪者として退けるのではなく、高分子材料の管理をより厳格に行うことが必要であることが結論として述べられました。
エルカン准教授は、「欧州における人権保護と死刑制度」についての講義を行いました(英語)。
ヨーロッパにおいても死刑は広範に行われましたが、18世紀中頃より死刑撤廃の議論が行われるようになり、
欧州人権条約第6議定書は平和時の死刑廃止を規定し、今では死刑廃止はEU加盟条件となっていること、
そして現在では、日本を含む56ヵ国が死刑制度を残しているものの、世界の3分の2の国が死刑を廃止していることが述べられました。
そして、日本においても死刑廃止の議論が行われ、日本弁護士連合会は「死刑制度の廃止を求める要請書」を政府に提出していることが強調されました。
各講演の後では、辻本理事長によりシンポジウムに先立ち実施されたEU関係の事前学習もあり、
興味深い質問が講師へ投げかけられました。講演の最後には、高校生代表の感謝の言葉が述べられた後、
吉井ジャンモネCoEプログラム・コーディネータが閉会の挨拶を行い、ミニシンポジウムを終えました。
参加生徒によるアンケートでは、97%の生徒が講義内容は満足(やや満足、満足、大変満足)であった、
92%の生徒が今回のイベントで学んだことを今後活かしていけると思う(やや思う、思う、とても思う)と評価しました。