教養教育院

菊池誠 教養教育院長からのごあいさつ

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神戸大学はおよそ16,000人の学部学生と大学院生が学ぶとても大きな大学です。神戸大学の学部1学年の学生定員は約2,700名で、これは全国に80校以上ある国立大学の中で5番目の大きさです。神戸大学の学部学生は10ある学部のいずれかに所属していますが、一般に共通教育や教養教育と呼ばれている、専門教育の基礎や専門外の知識や素養についての教育は、学部の垣根を超えて神戸大学全体で担当しています。大きな大学ですから、神戸大学では実にたくさんの教養教育が実施されています。その神戸大学の教養教育を実施するための組織が教養教育院です。

教養教育に対してはいろいろな考え方があります。教養教育は無駄でしかなく、早くから専門教育に集中すべきだという考え方もあります。教養教育こそが人間性や創造力を育てる大学教育の根幹だという考え方もあります。いずれの考え方にも十分な根拠も、説得力もあるでしょう。しかし、どれだけ退屈な授業であっても、聞くべき人が聞けば奥が深く興味深い授業なのかもしれません。どれだけ面白い授業であっても、一つの授業を受けただけで人間性や創造力が育つはずがありません。おそらく、教養教育を役立てたり無駄にしたりする学び方があるだけで、教養教育それ自身は役立つものでも無駄なものでもないのでしょう。

学ぶことは種を植え、苗木を育てることに似ています。水がある、陽の光が当たるといった一つ一つの条件だけでは何も起きなくても、適当な条件が揃うと芽が出ます。今日、水をあげなくても苗木は育つでしょうが、今日、水をあげることは無駄ではありません。何が必要で何が無駄であるのか、何がどのように役立つのかは、5年後、10年後になってみなければわかりません。結局、いつまでもわからないのかもしれません。学ぶことも同じです。何が必要で何が無駄であるのかは、今すぐにはわかりません。このことは特に教養教育に強く当てはまります。

必要でないことは無駄であると考えられがちですが、本来、必要でないことと無駄であることは違います。すてきな歌を歌うこと、おいしいお菓子を食べることは、生きるために必要ではありませんが、決して無駄ではありません。このような必要ではないものの価値を説明することは簡単ではないでしょう。しかし、実は、必要ではないとしても無駄でもないものにこそ、大切な価値があるように思われます。

自分には理解できない価値の存在を認めるためには想像力が必要です。その想像力が他者に対して敬意を払うことができる人間性や、世界を変えていく創造力の源であり、その想像力を身に付けるための場所が大学であるように思います。大学にとって学生は顧客でも、手足となって働いてもらう部下でもありません。学生が学んでいるときには教員も事務職員も学んでいます。大学では学生も教員も事務職員も、何が必要で何が無駄であるのか、何にどのような価値があるのかについて、今の自分の判断を鵜呑みにすることなく、想像力を働かせられたらと願っています。

神戸大学での人と人の出会いから、何か素晴らしいものが生み出されることを心待ちにしています。

教養教育院長
菊池 誠

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